ガバナンスとサインとウォーク

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今週(5月4~10日)のニュージーランドで気になったニュース3本は、NZラグビー協会の新提案、手話での安全説明、寿司は意識高い系か、です。

NZR理事会側が歩み寄り

最初のニュースはNZラグビー協会(NZR)の統治機構改革の続報です。この件に関しては、「揺れるラグビー王国の中枢」で書きましたが、米ファンドからの巨額投資に端を発したNZRのガバナンス体制についてのレビューで改革が求められた統治機構の在り方を巡って、NZRの理事会と地方協会、選手会が対立していました。ところが、RNZの報道によると、理事会側が選手会に譲歩したとのことです。

当初の理事会案は、各理事は任期いっぱい務めることが前提となっていましたが、選手会は「レビュー結果に沿っていない」と反発していました。これに対し、理事会側は今回、全理事がいったん退いて再任を求める案を示し、選手会側も歓迎しているとのことです。

この案は今月30日の臨時総会に諮られるそうですが、理事の「地方協会枠」を求めていた地方協会のその後の意向は明らかになっていません。混乱が収束に向かうのか、なお予断は許さないように思います。

「世界初」手話で安全説明

二つ目は、ニュージーランド航空が国内線の機内で手話による安全説明を行ったという話題です。NZでは先住民族のマオリ語とともに手話の「NZサインランゲージ」も法定の公用語となっています。ちなみに国民のほぼ全員が話す英語は法律で定められてはいませんが、事実上の公用語とされています。

NZにはその他、多くの民族の人が暮らしているので、太平洋島しょ国パシフィカの各言語をはじめ公用語でない言語も多数使われています。主だったものはそれぞれ〇〇語ウィークというものが設けられていて、啓発活動などが行われています。

今回の安全説明はそのうちのサインランゲージ・ウィークの一環で、「世界初の試み」としています。考えてみると、今までなかったのが不思議なくらいですが、このような先取の精神がNZの良さの一つであることは間違いありません。このような試みは特定の週間にとどまらず、定着していってほしいと思います。

「寿司は意識高い系」に潜む自意識

最後は政治の話題ですが、寿司が「意識高い系」の食べ物か否かがちょっとした論争になっているというニュースです。発端は連立与党の党首が、学校で提供されるランチをサンドイッチなどにして「キヌアや寿司などのwoke food」はやめるとSNSで投稿したことです。

「woke」は文字通り「目覚めた」という意味で、差別撤廃運動や人権活動などでここのところよく見られる言葉です。そのため、特に右派系の人からは、左派的な「意識高い系」を揶揄する言葉として使われたりしています。今回も左派の労働党中心の連立政権から右派の国民党中心の連立政権への政権交代が背景にあります。

さて、寿司が意識高い系だとすると、少なくともオークランドでは日本以上に寿司屋、とりわけテイクアウト店が街中にあふれているので、意識の高い系の人ばかりということになります。しかし、それより気になるのは、自国文化を守りたいというこの政治家の思いが透けて見えることです。では、他国の影響を受けていない自国オリジナルの食文化とは何なのか。突き詰めると逆に悲しくなるような気がするのですが。

にきお

50歳(ちょっと手前)の2023年2月からニュージーランドのオークランドで生活しています。大好きなラグビーとセーリングの話題のほか、気になったニュースなどおじさんが見たキーウィ生活のリアルをお届けしています。
X: @Nikki_de_Loup

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