見事なリベンジ 真価はこれから

オールブラックス、アルゼンチン 42対10 ラグビー

オールブラックス(AB)は8月17日、ザ・ラグビーチャンピオンシップのアルゼンチン代表との第2戦を行い、42ー10で勝利しました。ABは前週の第1戦、首都ウェリントンでのまさかの敗戦に続く連敗を免れただけでなく、その試合の反省点を修正して完勝。30年間続くオークランド・イーデンパークでのテストマッチ不敗記録を「50」に伸ばしました。

雨の中、前半に5トライ

オークランドは朝から雨が降り続き、グラウンドコンディションはかなり悪いナイターでの試合となりました。しかし、ABが序盤からペースをつかみ、試合開始5分にはゴール正面でCTBジョーディ・バレット(ハリケーンズ)のチップキックをSOダミアン・マッケンジー(チーフス)が拾って先制トライを挙げます。

アルゼンチンもPGですぐに7-3としますが、その後はABが猛攻。4連続トライを挙げて試合をほぼ決定づけてしまいます。コンディションが悪い中、マッケンジーもコンバージョンをすべて決めて35ー3の大差をつけて折り返します。

ABは後半開始早々にも小刻みなボール回しから、この日がスーパーラグビーシーズンを棒に振ったけがからの復帰戦となったWTBウィル・ジョーダン(クルセイダーズ)のこの日2本目となるトライで突き放します。ただ、そこからは一進一退の攻防となり、徐々にアルゼンチンもペースをつかんで71分に連続攻撃からようやく1トライを返しますが、反撃もここまででした。

背水の陣 随所で修正

前週に30ー38という不名誉な敗戦を喫し、スコット・ロバートソンHC体制5戦目にして背水の陣となっていたAB。メンバー的には、メディアからは先発起用の呼び声も高かった若手No8ウォレス・シティティ(チーフス)を外し、前キャプテンで、けがから復帰したベテランFLのサム・ケイン(サンゴリアス)をベンチに入れ、第1戦はベンチとなったCTBリーコ・イオアネ(ブルーズ)を先発に戻すなど保守的な布陣で臨みました。

そして迎えたこの試合のABは、これまでの教訓を意識した姿勢が見られました。特に攻撃面では、前週だけでなく、イングランドとの2連戦でも課題として挙げられた前がかりのディフェンスのプレッシャーへの一つの対応策として、チップキックを多用していました。これがディフェンスラインの裏側のスペースをうまく突き、前述の先制トライにつながっただけでなく、その前にもマッケンジーがキックしたボールをNo8アーディ・サヴェア(モアナ・パシフィカ)がキャッチしてチャンスとなっており、試合の入りからアルゼンチンディフェンスに心理的な影響も与えていたように思います。

また、同じく課題となっていた球際の強さについては、FLイーサン・ブラックアダー(クルセイダーズ)や両ロックが積極的に前に出て光っていました。また、ラインアウトからのモールやサイド攻撃も効果的で、2本目のトライにつながったほか、29分にはサイドを抜け出したSHのTJペレナラ(ハリケーンズ)がジョーダンに絶妙なパスをつなぎ、フィニッシュにつなげています。第1戦はキックをチャージされるなど精彩を欠いたペレナラでしたが、この日はチーム全体と同様にレジリエンスを示しました。

さらに、第1戦は60分間スクラムのない異様な試合展開となりましたが、今回はABのスクラムの強さがペースをつくるのに役立っていたように思います。特に、けがのイーサン・デグルート(ハイランダーズ)に代わって1番で先発出場した若手のタマイティ・ウィリアムズ(クルセイダーズ)が目立ちました。

後半の「お試し」には疑問

ABは一方的な展開となった後の後半、新たなメンバー構成を試す余裕も見せました。50分にWTBマーク・テレアが投入されると、マッケンジーが退き、FBだったボーデン・バレット(ブルーズ)がSOに入り、WTBだったジョーダンがFBに回ります。続いて59分にCTBアントン・レーナート=ブラウン(チーフス)が入った際にはCTBだったイオアネがケイレブ・クラーク(ブルーズ)に代わって左ウィングの位置に入っていました。

観ていて面白かったことは面白かったのですが、この布陣があまり機能していたようには見えませんでしたし、後半が両チーム1トライずつのイーブンな試合展開になった主因だったとさえ思えます。試合展開を踏まえての「お試し」だったことは間違いないのでしょうし、今後のためにも様々なオプションを試しておきたかったのでしょうが、それをテストマッチをやる必要があったのか、やや疑問です。

特に試合途中からとは言え、マッケンジーを下げてボーデンをSOの位置に入れたことは「10番論争」を蒸し返しかねません。前週の試合ではゲームマネジメント面で批判されたマッケンジーをかばったロバートソンHCでしたが、この采配は「やはりボーデン10番もあり得るのでは」と周囲に思わせるだけだったような気がします。

それはともかく、ABが見事にリベンジを果たしたことで、ファンもメディアも胸をなでおろしているのが実態だと思います。ただ、2週間後からは南ア遠征での2連戦が始まるので、本当に鼎の軽重が問われるのはこれからです。アルゼンチン戦の敗戦後は特にメディアも南ア戦に向けて悲観的な論調が目立っていましたが、どう変わるでしょうか。また、今回の試合結果がメンバー構成にもどのように影響するのかについても注目です。

タイトルとURLをコピーしました