いろいろ気になったヤマ場の週末

ラグビー

2024スーパーラグビー・パシフィック第12節はニュージーランド勢にとっても、スーパーラグビー全体にとっても今季のヤマ場となりました。最大の注目カード、頂上決戦となった首位ハリケーンズ対2位ブルーズの試合は、ブルーズが31ー27で激戦を制し、首位に立ちました。一方、順位表の下位対決となってしまった「南島ダービー」、ハイランダーズ対クルセイダーズは、ハイランダーズが32ー29でクルセイダーズをかわし、NZのチームに対する連敗を19で止めました。また、チーフスはモアナ・パシフィカに43ー7で圧勝しました。

今回は最大の注目カードを観戦できていないということもあり、試合経過そのものよりも、いろいろ気になった点をまとめてみたいと思います。

焦りか、ファカタヴァ長短相半ば

まずは、テレビ観戦した南島ダービーから。ハイランダーズの本拠地でのゲームとはいえ、HOコーディ・テイラーがサバティカルから戻ったりしたクルセイダーズが優位に思えたので、ハイランダーズがよく勝ち切ったと思いました。その中で気になったのはハイランダーズのSHフォラウ・ファカタヴァです。

この試合のファカタヴァは特に長短相半ばしたと思います。きびきびとしたプレーでチームを引っ張り、好判断でトライにつながる抜け出しも見せました。後半の64分に退いてからは、ハイランダーズの攻撃が単調になり、トライを取れる気が全くしなくなったこともあり、存在感の大きさを示すことができたと思います。

一方で粗さやチグハグさも目立ち、前半はゴール前でタックルリリースをせずにイエローカード受け、シンビンとなっている間にクルセイダーズに2トライを挙げられてしまいます。後半にはスクラムに手を突っ込んで相手ボールを奪うという信じがたいペナルティーを犯したことが、クルセイダーズのトライにつながります。

粗さは積極的なプレーの裏返しでもあり、これがファカタヴァの持ち味でもあります。ただ、アーロン・スミスの後継者と目されながら、ハリケーンズのキャム・ロイガードら若いスクラムハーフの台頭もあって、ここのところオールブラックス候補として名前が挙がることが少なくなっているような気がします。スコット・ロバートソンHC体制で初となるオールブラックスの編成も大詰めを迎えている今、焦りもあるのかもしれません。

ハヴィリの10番起用に疑問符

他方のクルセイダーズで気になったのは、やはりいろいろ議論になっているデヴィッド・ハヴィリのスタンドオフ起用でした。この試合、ハヴィリは前節に続いて10番で先発しましたが、前半修了間際にCTBリヴァイ・アウムアがリヴェズ・レイハナと交代すると、レイハナがスタンドオフとなり、ハヴィリはセンターの位置に入ります。

後半の方が攻守ともにチーム全体がまとまったことを考えると、最初からこの布陣でよかったのではないかとさえ思えます。もちろん後半にクルセイダーズが改善した理由はこれだけではありませんし、アウムアはおそらく負傷交代だったのですが、やはりあえてハヴィリを10番で先発させなければいけない理由が見えませんでした。

そもそもこのハヴィリの10番起用はロバートソンからの提案だとロブ・ペニーHC自ら明らかにしていました。オールブラックスHCのロバートソンとしては、少なくなる傾向にあるバックスのベンチ入り選手の候補として、ユーティリティプレイヤーであるハヴィリのスタンドオフの適性を見ておきたかったのでしょう。

しかし、文化の違いもあるのかも知れませんが、いくら前季まで指揮した古巣とはいえ、シーズンも後半になってから代表監督が個別のチームの選手起用に口出しするのは不適切だと思います。クルセイダーズにしてみれば、トップであるペニーHC自らが他人に言われて選手起用を決めていることを公表しているわけで、チームの統率や士気に影響しても不思議ではありません。

午後4時半開始に2万5900人

さて、観戦できなかったブルーズ対ハリケーンズ戦で気になったのは観客の多さです。会場だったブルーズの本拠地、オークランドのイーデンパークには2万5900人が詰めかけたそうで、昨今のスーパーラグビーの試合ではなかなかお目に係れない大観衆でした。

最大の理由は言うまでもなく今シーズンの首位を占う大一番だったことです。さらに好天に恵まれたことも寄与したのでしょうが、それに加えて試合時間も大きかったように思います。スーパーラグビーの試合は金曜日か土曜日の夕方7時過ぎ開始の試合が多いのですが、この試合は土曜日の比較的早い午後4時35分キックオフでした。

南半球は秋から冬にかけての季節となるこの時期は、夕方に始まる試合はかなり寒くなります。雨に降られたりしたら目も当てられません。また、試合が終われると夜の9時を過ぎたりするので、特に家族連れに敬遠される理由になっているとされています。このため、今回の試合を報じた記事でも、同じような午後の早い時間の試合を増やすよう求める論調があります。

夕方の試合が多い理由はよく分かりません。テレビの放送時間の都合や、オーストラリアとの時差の関係などもあるのかもしれません。日曜日や休日に試合をしないのはラグビーリーグのNRLとの兼ね合いがあるとも言われていますが、いずれにせよ、観客数の減少が指摘されるスーパーラグビーにとって、試合日程は再検討に値することは間違いありません。

モアナ、高まる先行き不透明感

逆の意味でその象徴となってしまったのは、金曜日の夕方7時5分キックオフで行われたモアナ・パシフィカ対チーフス戦です。チーフスの一方的な試合となり、報道でも「チーフスが勝ったが、本当の勝者は金曜の夜に(ラグビー観戦とは)別のことをした人たちだ」と揶揄されてしまいました。

試合結果を報じる記事で、報道機関が試合観戦の「価値」を断じるのはどうかと思いますが、イーデンパークと同じ最大都市オークランドにあるマウントスマート・スタジアムがガラガラだったのは事実です。このマウントスマートを本拠地とするNRLのウォリアーズが、調子が上がらない今季も各試合とも大入りで、チケットがソールドアウトになっているのとは対照的でした。

モアナはスーパーラグビー参戦3季目の今季、既に過去最多の3勝を挙げています。しかし、人気は低迷し、今季はマウントスマートが本拠地ではなくなり、ホームゲームでも各地を転々としています。経営危機に陥ったものの何とか存続が決まったレベルズに次いで経営が不安視されているのはモアナとされていることもあり、先行き不透明感が高まりつつあります。感動的だった前節のトンガでの試合など、今のラグビー界に及ぼしている影響力は大きいので、何とかならないかと思います。

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