チームNZ、トップで挑戦艇待つ

ルイヴィトンカップ ラウンドロビン セーリング

ヨットの第37回アメリカズカップの挑戦艇を決めるルイヴィトンカップのラウンドロビンがスペインのバルセロナで行われました。波乱続きの大会となりましたが、このラウンドロビンのみに出場したエミレーツ・チームニュージーランドは8勝2敗でトップの成績でした。ただし防衛艇のチームNZは9月14から始まる準決勝以降は出場せず、10月12日から始まるアメリカズカップ本戦でこのルイヴィトンカップの優勝艇と対戦します。

クレーントラブルに見舞われ

チームNZは8月に行われた最後の予備レガッタに優勝してルイヴィトンカップを迎えました。全6チームが総当たりのマッチレースを2回ずつ行うラウンドロビンの初戦は、前回のアメリカズカップの挑戦チームで、予備レガッタの決勝レースでも対戦したイタリアのルナロッサ・プラダ・ピレリでした。

スタートはルナロッサがリードし、チームNZは第1ゲートで11秒遅れとなります。しかし、そこから徐々に差を詰めて風上に向かう第3レグでタック合戦に持ち込んでリードを奪い、最終的に12秒差で勝利となりました。

幸先よくラウンドロビンをスタートしたチームNZですが、このレースの後、悲劇に見舞われます。チームのAC75「タイホロ」を収容する際、クレーンのトラブルで船体が6メートルほど落下し、ハルが船架台に打ち付けられて損傷してしまいます。

急ピッチで修復作業が行われますが、大会2日目のイネオス・ブリタニア(イギリス)戦は不戦敗となります。大会3日目には修復が間に合いますが、今度は対戦相手のフランスのオリエントエクスプレスがトラブルでスタートできず、チームNZの不戦勝となります。

さらに大会4日目初戦のアリンギ・レッドブル(スイス)戦もアリンギの調整が間に合わず不戦勝となり、次のアメリカンマジック(アメリカ)戦でようやく普通にレースが実施されました。

アメリカンマジックは予備レガッタのラウンドロビンでチームNZが敗れた相手だけに注目の一戦となりましたが、スタート直前にアメリカンマジックがタックしてポートスタートとなり、チームNZがリードします。しかし、第1ゲート手前で打ったタックの効果が出ず、オーバーテークされます。第3ゲートまでアメリカンマジックがリードしますが、チームNZは風下に向かう第4レグで再びリードを奪うと、第5レグでのアメリカンマジックのタック失敗などもあり、最終的にはチームNZが29秒差をつけてフィニッシュしました。

荒天にめげず 8勝2敗に

このように、大会1巡目を終えてチームNZは4勝1敗でしたが、まともにレースをしたのは2レースだけでした。2巡目は順調にレースがこなせるようになることが期待されましたが、今度は荒天に悩まされることになります。

2巡目の最初のルナロッサ戦からいきなり波の高い荒れた天気でのスタートとなります。しかもチームNZは好位置を奪われたためにすぐにタックをしますが、これが失敗となり、ハルが着水してしまいます。ルナロッサがリードしたままレースが進みますが、第5レグあたりから今度は風がぱたりと止んで雨が降り始めます。さらに最終第6レグの途中でコース上に雷が落ち、チームNZは安全のためコースを外れて失格を余儀なくされました。大会は翌日も好天で中止となります。

その次の日にようやく天気は回復したものの、微風での難しいレースとなります。ブリタニア戦はスタートでリードを奪われますが、ブリタニアは最初のタックに失敗し、フォイリングを失います。さらに第5ゲートでも周回に失敗して着水し、チームNZが3分を超す大差で勝利しました。続くオリエントエクスプレス戦もスタート前のマニューバリングでオリエントが着水すれば、第1レグ半ばでタイホロもオフフォイルとなります。最終的にはチームNZが、レース中に再度オフフォイルになったオリエントエクスプレスを周回遅れにしました。

翌日は比較的順風下のレースでしたが、スタートで対戦相手のアリンギにリードを奪われます。しかし、チームNZは風上に強いとされる一回り小さいジブを艤装していたこともあり、第1レグ途中で逆転。38秒差でフィニッシュします。

最終戦の相手だったアメリカンマジックは、この日からポートのヘルマーをポール・グッディソンからルーカス・カラブレスに交代しました。そのアメリカンマジックはスタート前にコースを外れてペナルティを受けて再びスプリットタックでレースが始まります。チームNZが序盤からリードしたものの、アメリカンマジックが徐々に差を詰めますが、第4レグでオフフォイルとなり、万事休すとなりました。

バーリング「どんどん良くなっている」

トラブルや荒天もあり、なかなか安定したレースが展開されない大会となりましたが、チームNZは8勝2敗のトップで大会を終えました。スキッパーのピーター・バーリングは「現状、船の状態は非常にいい。本当に速い感じがするし、どんどん良くなっている」と自信を深めている様子でした。

大会はチームNZとの対戦成績を除くポイントが一番少なかったオリエントエクスプレス(1勝7敗)が敗退。14日から始まる準決勝はイネオス・ブリタニア、ルナロッサ・プラダ・ピレリ、アメリカンマジック、アリンギ・レッドブルの4艇で争われることになりました。

前回大会の挑戦艇でアメリカズカップの名物と言っていいジミー・スピットヒルが率いるルナロッサでしたが、ラウンドロビンで同じく6勝2敗だったブリタニアに決勝レースで敗れました。ブリタニアを統率する同じくヨット界の大物、サー・ベン・エインズリーは大会前、「うちは少しダークホース的な位置づけになっている」と話していましたが、最終的にラウンドロビンを首位で終えて準決勝の対戦相手を選ぶ権利を得ました。

タイトルとURLをコピーしました