第3節まで終わった今年のスーパーラグビー・パシフィックですが、ディフェンディング・チャンピオンのクルセイダーズが開幕3連敗を喫しました。クルセイダーズにとって、3戦未勝利でのシーズンスタートというのはリーグが創設された1996年以来だそうで、ニュージーランドラグビー界をざわつかせています。
名将、オールブラックスに転出
クルセイダーズと言えば、カンタベリー地方クライストチャーチに本拠を置くリーグ最多の12回制覇を誇る名門。特に最近は2017年から昨年まで5回の優勝を重ね、「パシフィック」となったスーパーラグビーは2022年から連覇中です。
今シーズンは、「レーザー」こと名将スコット・ロバートソンがオールブラックスのヘッドコーチに転出し、ヘッドコーチはNTTコムなど日本での指導経験も豊富なロブ・ペニーに交代しています。選手では、ご存じオールブラックスの正スタンドオフだったリッチー・モウンガがリーグワンのブレイブルーパスに移籍したほか、ロックのサム・ホワイトロックもフランスリーグに参戦していますので、戦力ダウンは否めませんが、主力が多少抜けているのは特にニュージーランド勢では状況は似たり寄ったりのところがあります。ですから、ちょっとここまでつまずくとは予想していませんでした。
モウンガの不在響く
私は2月23日のチーフスとの開幕戦はテレビで観戦したのですが、正直言って昨年はレギュラー・シーズンを首位で終えながら決勝でクルセイダーズに敗れたチーフスを気の毒に思い、どちらかと言うとチーフスを応援していました。クルセイダーズはここオークランドから遠く離れた南島のチームですし、強すぎて、巨人ファンの方には怒られるかもしれませんが、昔の巨人みたいなところがあります。ですので、開幕戦のクルセイダーズの印象はそんなに残っていないのですが、得点的にも33ー29でチーフスが辛くも勝利したので、クルセイダーズがそこまで悪いという印象もありませんでした。今にして思えば、惜しいところまで行って「勝ちきれなかった」という点が昨年との差だったのかもしれませんが。
クルセイダーズはその後、第2節でワラターズに24ー37で敗れた後、先週末の3月9日には昨年に続いてフィジーでフィジアン・ドゥルアにも10ー20で完敗してしまいました。開幕以降、スクラムハーフやスタンドオフの起用が定まっていなかったようで、その点を問題にしている記事も散見されます。そう思うと、モウンガの移籍はかなりのダメージだったということなのでしょう。逆に、全勝対決でワイルドナイツに敗れはしたものの、今季のブレイブルーパスが見違えるようなチームになっていることからも、モウンガという選手のインパクトが分かります。オールブラックスでは、レジェンドと言っていいダン・カーターの後ということもあり、モウンガの起用を疑問視する声もあったと聞きます。確かに調子の波がある選手だとは思いますが、私はいい時のモウンガ、特にボールを持った時のランプレーのキレは世界一だと思います。ブレイブルーパスとは3年契約だとされていますから、クルセイダーズにとっては今年に限らず大きな痛手でしょう。また、選手層に関して言うと、現在のクルセイダーズはHOコーディ・テイラー、WTBウィル・ジョーダン、FLイーサン・ブラックアダーといった大物をケガなどで欠くという不運も重なっています。
バレット3兄弟明暗
クルセイダーズのキャプテン、LOスコット・バレットは「実行力の問題。やらなければいけないことは分かっていたが、やり切れなかった」という趣旨のことを語ったそうです。開幕3連敗という不名誉記録のキャプテンになってしまったスコットを見ていて、改めて、バレット3兄弟の明暗に思いをはせました。先日も書きました通り、弟のジョーディもレッドカードで3週間出場停止の憂き目にあっています。一方で、兄のボーデンは日本のヴェルブリッツで活躍しています。ヴェルブリッツはスーパースターを揃えた割には勝ててない印象があるものの、ボーデン自身は伸び伸びと楽しんでいるように感じられます。こちらでもネット中継された9日のスピアーズ戦で時折笑顔を見せながらフル出場し、前季覇者を退けて充実の表情を浮かべていたのが印象的でした。
クルセイダーズは次節以降、ニュージーランドに戻って15日に無敗のハリケーンズ、23日に1敗のブルーズと、難敵との対戦が続きます。ただ、逆に言うと、最低でもどちらかを破ることができればメンバーの安定や浮上のきっかけになるかもしれません。名門の今後にも注目したいと思います。


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