首都で「負のジンクス」解消

オールブラックス33点対ワラビーズ13点 ラグビー

オールブラックス(AB)は9月28日、ザ・ラグビーチャンピオンシップ(TRC)のオーストラリア代表ワラビーズとの第2戦を首都のウェリントンで行い、33ー13で勝ちました。会心の勝利ではなかったものの、これで今季のTRCは3勝3敗となり、6年続いた首都での未勝利を終わらせたうえ、TRC6戦目にして初めて最後の20分間に得点を挙げて「魔の最終クォーター」も脱しました。11月の欧州遠征を前に「負のジンクス」を解消し、チームに漂っていた重苦しい雰囲気を何とか払しょくできたと言えそうです。

ケインとペレナラ、ホーム最終戦

前週のシドニーでの第1戦の苦戦を受けて、主にバックスのテコ入れに踏み切ったスコット・ロバートソンHC。新体制発足後のテストマッチ8戦全てで10番をつけていたSOダミアン・マッケンジー(チーフス)をベンチに下げるという決断をしました。ボーデン・バレット(ブルーズ)がABでは2年ぶりに先発スタンドオフに起用され、ウィル・ジョーダン(クルセイダーズ)は前節もはまっていたフルバックでの先発となりました。

8月のアルゼンチン戦では空席が目立ったウェリントンのスカイスタジアムですが、この日はソールドアウト。来季はサンゴリアスに移籍するためにニュージーランドでの最後のテストマッチとなり、100キャップを迎えたFLサム・ケインが先頭で入場すると、大歓声が湧き起こりました。また、スカイスタジアムを本拠地とするハリケーンズに所属していたSHのTJペレナラもブラックラムズ移籍のために最後のホームゲームとなり、観客から盛大な労いを受けていました。

しかし、試合はワラビーズペースで始まります。ワラビーズは試合開始早々からAB陣内に攻め込んで、キックチェイスでインゴールに達しましたが、グラウンディングできずにノックオンの判定となります。それでもワラビーズは攻め手を緩めず、7分にはゴール前のペナルティからタップアンドゴーでフォワード戦を挑み、先制トライを挙げます。

これに対し、ABはNo8アーディ・サヴェア(モアナ・パシフィカ)のターンオーバーからFLウォレス・シティティ(チーフス)がランで抜け出してオフロードパスを決め、最後はWTBセヴ・リース(クルセイダース)がフィニッシュ。ワラビーズのPGの後の21分にはジョーダンがディフェンスのギャップを突いてインゴールに駆け抜け、コンバージョンも決まって12ー10と逆転します。

その後、PGで再び逆転を許しますが、ABは前半終了間際の敵陣でのペナルティでタッチキックを選択。ラインアウトを受けて右に展開した後にリースが中央に切れ込んでボーデン・バレットに戻し、最後はフルスピードで走り込んだWTBケイレブ・クラーク(ブルーズ)の再逆転トライを挙げ、最高の形で前半を終えます。

「魔の最終クォーター」、ようやくトライ

後半も54分にラインアウトからFWが押し込んで途中出場のPRタマイティ・ウィリアムズ(クルセイダーズ)がトライを挙げて26ー13と突き放します。「魔の最終クォーター」を迎えた直後の60分にはLOトゥポウ・ヴァイ(チーフス)がゴールラインを割り、早々に「負のジンクス」を解消したかに見えましたが、TMOの結果、前のプレーでノックオンがあったことが判明してノートライとなりました。

それでも63分にはボーデン・バレットを起点に左に展開し、途中出場のマッケンジーがつないでクラークがこの日2本目のトライを挙げ、今季のTRC最終節にして初めて最後の20分間に得点を挙げることに成功します。ABはそのままワラビーズを後半ノートライに抑えて20点差でノーサイドとなりました。

ロバートソンHCが試合後、「我々はチャンスを作り続けて、遂行した」と語ったように、全体的としては、ABの思い通りの試合展開だったと思います。特にこの日も本職ではないブラインドサイドで先発したシティティの活躍が光りましたし、ボールを手にする機会が多いフルバックで先発したジョーダンも攻撃面で抜群の存在感を示しました。

10番ボーデンで安定感増したが…

また、注目された10番ですが、ボーデン・バレットはペナルティのタッチキックなどでミスもあったものの、やはり全体的な試合運びの安定感ではマッケンジーよりも一枚上だったように感じました。逆に61分にスタンドオフとして投入されたマッケンジーも、「魔の最終クォーター」解消につながったトライに絡むなど、インパクトの残していたように思います。

ただ、解消されなかった課題も残りました。この試合はワラビーズが積極的に前に出て来た序盤に押し込まれ、失点して追う展開になりました。さらに、試合を通じて受けたペナルティはワラビーズより多い13に上ったうえ、最終クォーターにトライを挙げたクラークが直後の76分に重大局面でオフサイドを犯してイエローカードを受け、規律面の問題を印象付けてしまいました。

また、ボーデンの10番起用には、「マッケンジーを支える」としてきたロバートソンHCの主張の信ぴょう性を失わせた、というような指摘も出ています。さらに、スタンドオフを巡っては、ロバートソンHCはクルセイダーズでスーパーラグビー7連覇を共に成し遂げたリッチー・モウンガ(ブレイブルーパス)を自らの「クォーターバック」と称していたことでも知られています。ロバートソンHCは先日も記者会見の席で、プライベートで「モウンガはいつ帰ってくるのか」と聞かれたことをあえて自ら持ち出し、その姿勢を疑問視する声も挙がっていました。

今回の勝利によって、ロバートソンHCの「右腕」と目されていたアタック担当のレオン・マクドナルドACの電撃退任劇もようやく過去のものになりつつあるように思えます。ただ、特に10番を巡ってはさらに紆余曲折も予想され、ロバートソンHCのチームマネジメントが今後も注目されます。

何はともあれ、ABの活動はこれでしばらく小休止となり、次は10月26日の日本戦です。その翌週からはイングランド、アイルランド、フランスなどとの対戦が予定されている欧州遠征が控えており、ABは再び鼎の軽重を問われることになりそうです。

タイトルとURLをコピーしました