スーパーラグビー・パシフィックは第4節に入っています。ニュージーランド勢ではモアナ・パシフィカがオーストラリアのウェスタンフォースを22ー14で破り、早くも今季2勝目を挙げました。一方、3連勝のハリケーンズ対3連敗のクルセイダーズの対戦となったNZダービーはハリケーンズが14ー10で接戦を制し、名門クルセイダーズはチーム史上初の開幕4連敗となりました。
しぶとく再逆転し、突き放す
モアナ・パシフィカは太平洋島しょ国にゆかりのある選手を中心に構成されたチームです。もともとは2020年にマオリ・オールブラックスと対戦するために結成されましたが、スーパーラグビーが「パシフィック」となった2022年からスーパーラグビーに参戦しています。NZ所属として扱われ、昨年はオークランドのマウントスマート・スタジアムを本拠地にしていたと記憶していますが、今年は本拠地を置かず、NZ各地を転戦するようです。成績としては2022年が2勝、昨年は1勝にとどまり、どちらも最下位に沈みましたが、今シーズンは第2節でフィジアン・ドゥルアを破って既に1勝を挙げています。
敵地パースに乗り込んでの今節、モアナは前半、フォワードが押し込み、HOサマ・マロロが先制のトライ。マロロはウェスタンフォースのアカデミー出身だそうで、日本でよく言う「恩返し」を果たした形となりました。その後、フォースにトライを返されて、コンバージョンの差でいったんは逆転されましたが、ゴール前のペナルティーから再びモアナのフォワードが押し込み、豪州代表PRセコペ・ケプが再逆転トライを挙げ、リードして前半を終えます。後半も先に得点したのはモアナ。SOクリスチャン・リアリーファノが抜け出してこの日初先発のトンガ代表WTBキレン・タウモエフォラウにつないでトライを奪います。元豪州代表で白血病を克服して日本でも活躍し、昨年のワールドカップにはサモア代表として出場した大ベテランのリアリーファノですが、まだまだ健在です。フォースも1トライを返しますが、その後フルバックに代わって入ったトンガ代表SOウィリアム・ハヴィリのPGで突き放し、そのまま試合終了となりました。
W杯戦士19人、強みに
これで今季のモアナ・パシフィカは2勝2敗の五分の星となりました。昨年は観ていても苦しい試合展開ばかりだったうえ、私が個人的に注目していたバックスのスター選手2人、CTBレヴィ・アウムアはクルセイダーズに、WTBティモシー・タヴァタヴァナワイはハイランダーズにそれぞれ移籍してしまったので、今シーズンもどうかな、というのが正直な印象でした。しかし、蓋を開けてみれば安定した試合運びができている印象で、何よりチームとしてのまとまりがよくなった印象です。その辺はヘッドコーチに就任したオールブラックスのレジェンド、ファアロゴ・タナ・ウマガの力量かもしれませんが、昨年のワールドカップの代表選手を19人も擁しているのも大きいと思います。やはり国を背負った戦った経験をチームに持ち帰る選手が多いというのは、そのチームに与える影響も大きいものです。それにフォワードの強化が試合運びの安定感につながっているように思えますし、既に紹介したようにWTBジュリアン・サヴェアも加入しています。今後が非常に楽しみになっています。
残り9分、王者リード守れず
さて、一方のNZダービーです。首位ハリケーンズをホームのクライストチャーチに迎えた王者クルセイダーズですが、大黒柱のLOスコット・バレットが指のけがで全治6週間となってまさに泣きっ面に蜂の状態でこの大事な試合を迎えました。
クルセイダーズは開始早々、PGで先制するチャンスを得ましたが、SOライリー・ホヘパが外して得点ならず。ホヘパはこの日がデビュー戦で、クルセイダーズはこれで開幕から4戦とも違うスタンドオフが先発したことになり、何ともチームの迷走を象徴するかのような出だしとなりました。その後、逆にハリケーンズのPRタイレル・ロマックスにトライを奪われ、前半は7-0でハリケーンズがリードして終えます。しかし、後半に入るとクルセイダーズはフォワード戦からNo8カレン・グレースがフィニッシュし、コンバージョンで追いつきます。さらに試合時間残り9分となったところでPGを決めて10ー7で逆転に成功します。しかし、その後ハリケーンズにゴールライン付近まで押し込まれて1人シンビンとなり、トライを奪われて再逆転されます。クルセイダーズはさらに最終プレイでPRオーウェン・フランクスもヘッドコンタクトでイエローカードを受け、後味の悪い結果となりました。
試合は接戦でしたし、クルセイダーズもいいところがなかったわけではありません。例えば前半はキックがハリケーンズのインゴールに達して同点に追いつくのではないかと思われた場面もありましたが、ハリケーンズのFBルーベン・ラブの驚異的なカバーで防がれたりしました。点差も含めて、惜しい試合ではあったのですが、やはりリードしても残り9分を守り切れなかったところに選手層の薄さであったり、規律の乱れであったり、まとまりのなさであったりといった今季のクルセイダーズの問題点が表れていたと思います。浮上のきっかけが見えないわけでもない試合でしたが、次節のブルーズ戦(23日)も厳しいのではないかと思えるような内容となりました。

