ヨットの第37回アメリカズカップは先月、エミレーツ・チームニュージーランドの3連覇で幕を閉じましたが、早くも第38回大会に向けた動きが始まっています。チームNZと母体のロイヤル・ニュージーランド・ヨット・スクアドロン(RNZYS)は、イギリスのロイヤル・ヨット・スクアドロンを母体とするイネオス・ブリタニアが37回大会に引き続き「チャレンジャー・オブ・レコード」に認定されたことを発表しました。
イネオスの支援継続か
「チャンレンジャー・オブ・レコード」は最初にカップに挑戦することを表明したチームのことで、防衛チームとともに大会の運営などについて協議していくことになります。「史上最高のオリンピックセイラ―」と称されるサー・ベン・エインズリーが率いるブリタニアは10月にスペイン・バルセロナで行われた37回大会で下馬評を覆してルイヴィトンカップ決勝でルナロッサ・プラダ・ピレリ(イタリア)を破り、本戦に進出しました。本戦でもチームNZに4連敗しながら続けて2勝するなど粘りを見せましたが、最終的に2ー7で敗れていました。
チームに莫大な資金を投じてきた英化学コングロマリット、イネオスのサー・ジム・ラトクリフから支援継続が明言されていないことが大会中に明らかになっていましたが、何とか目途がついたようです。エインズリーは173年前にアメリカに奪われたカップの初の奪還に燃えているだけでなく、セーリングン界の底辺拡大にも力を入れており、ブリタニアの参加継続は嬉しいニュースとなりました。
次回大会は3年以内に開催
今後、チームNZとブリタニアの間で大会の詳細が詰められていきますが、アメリカズカップ公式サイトの記事によると、今後3年以内に大会が開かれることや今大会と同じAC75が使用されることなどが合意されたということです。また、37回大会は3回だった予備レガッタの回数を増やすことも検討されているようです。
38回大会の概要で一番注目されるのは、やはり未定となっている開催地でしょう。37回大会は財政上の理由からチームNZの地元、NZの最大都市オークランドではなく、スペインのバルセロナとなり、NZでも賛否両論となりました。ただ、今回の防衛の成功を受け、「地元で開催したうえで勝つのは難しかった」(ヘレン・クラーク元首相)など、オークランドで開催していた場合、巨額の開催費用のためにチームにかける資金が不足していたと指摘する声も聞かれるようになりました。
チームNZ、オークランド開催探る
そのため、次回も地元開催は難しいと指摘され、バルセロナの継続や、資金力がある中東が開催地の候補に挙げられています。それでも今回は史上初の3連覇という偉業を成し遂げながら、距離も離れ、時差もある海外での開催で、国民の関心が薄れていたのも確かで、チームNZのトップ、グラント・ダルトンも地元メディアに「難しいが、大会を地元に持ち帰りたい」と話しています。
カギとなるのはやはり財政面ですが、ダルトンは政府やオークランド市の観光PRの予算を充当する一方、民間セクターの協力も不可欠だとしています。ただ、「チームが勝つことが最優先だ」とも述べており、資金的に折り合いがつかなければ海外での開催を探ることになりそうです。
現実的に2026年か2027年に開催されることになる第38回アメリカズカップ。開催地の決定は最優先事項になるので、今年のクリスマス前が地元開催の可否を判断する目途となりそうです。来年1月にはセールGがオークランドで開催されることも決まっているので、何とかアメリカズカップの開催も決めて盛り上げてほしいと思います。


