ラグビーのニュージーランド代表オールブラックス(AB)はフランス代表との3連戦を3連勝で終えました。SHアントワーヌ・デュポンをはじめとする主要選手のほとんどがスコッド入りしていないフランス代表相手に想定以上に苦戦し、再び微妙な出だしとなった「レーザー」ことスコット・ロバートソンHCのセカンドシーズン。フォワード第三列やスタンドオフの選手起用を中心に総括します。(今季最初のシリーズの検証企画の後編です)
ヴァアイ、6番で先発起用
フォワードの選手起用で驚いたのはやはり1、2戦目のトゥポウ・ヴァアイ(チーフス)の6番での先発起用でしょう。
ヴァアイはもともとFW二、三列のユーティリティ的な選手でしたので、フランカーを務めること自体には驚きはなかったのですが、ヴァアイと言えば昨シーズン最も成長著しい選手でした。特にサム・ホワイトロックとブロディ・レタリックという絶対的な存在が抜けた後、「最も層が薄い」と言われたロックにあって、著しい活躍を見せました。
また、今シリーズは昨季デビューながら活躍したサム・ダリー(ブルーズ)もけがで欠き、第1戦はキャプテン、スコット・バレット(クルセイダーズ)の相手としてハイランダーズの若手ファビアン・ホランドをデビューさせていました。
さらにブラインドサイドフランカーを巡っては、イーサン・ブラックアダー(クルセイダーズ)を選外としていました。それでも、昨年はやや期待外れのシーズンになったとはいえ、サミペニ・フィナウ(チーフス)は選ばれていたので、あえてヴァアイを6番で起用する必要性は感じられませんでした。
ホランドの活躍は収穫
しかも、その結果、ベンチはフィナウとデュプレシー・キリフィ(ハリケーンズ)という第三列の2人が入ったのに対してロックはゼロといういびつな構成になっていました。
結果的にはヴァアイは初戦でトライを奪うなど、フランカーでも八面六臂の活躍を見せました。特に、もともとスチールなどラインアウトのプレーに定評があるだけに、ロック2人に加えてヴァアイがラインアウトにいることはフランスにはかなりのプレッシャーになったと考えられます。
また、ホランドがロックとして十分以上の活躍をしたのも収穫でした。さらに初戦でのバレットの負傷を受けて入ったパトリック・トゥイプロトゥ(ブルーズ)の存在感も光りましたので、これでダリ―が戻るとロックの層もかなり厚くなると言えます。
このため、ヴァアイの6番起用は今後も続くのかもしれません。ただ、第3戦でようやく先発起用されたフィナウがかなりいいプレーを見せていたので、今後どうなるか注目です。
7番サヴェアは定着か
また、No.8として2023年に世界最優秀選手となったアーディ・サヴェア(モアナパシフィカ)は7番起用が定着しそうです。1、2戦は7番で先発し、第3戦もその予定でしたが、8番で先発予定だったルーク・ジェイコブソン(チーフス)のけがで急遽No.8となりました。
昨シーズンのスティーラーズ、今季のモアナなどクラブチームでは7番起用が続いていますし、No.8が本職のウォレス・シティティ(チーフス)のデビューで地元メディアからも呼び声が高く、昨シーズンのフランス戦などで試されていました。
今季の3試合を見ても、サヴェアはオフェンス・ディフェンス両方でボールに近い場所でプレーする場面が多い7番の方が最大限力を発揮できるような気がしています。今シリーズは負傷のためシティティはいませんでしたが、復帰してきた場合は7番サヴェア、8番シティティの布陣が定着するように思います。
10番はボーデンが軸に
また、レーザー体制1年目に最も議論になったと言っていい10番については、昨季後半に引き続き、ボーデン・バレット(ブルーズ)中心になりそうです。第2戦で手を骨折するまで、ボーデンがスタンドオフを務めました。はやり安定感では第3戦で先発したダミアン・マッケンジー(チーフス)より上のように思います。
ただその場合、マッケンジーはベンチでいいのかということが問題になります。ボールを持った際のトリッキーさなどから、マッケンジーはインパクトプレイヤーではあるのですが、個人的にはウィル・ジョーダン(クルセイダーズ)をウイングに回してマッケンジーをフルバックで先発起用してもいい気がしています。
それにしても、ABで一番層が薄いのはスタンドオフかもしれません。ブレイブルーパスに移籍したリッチー・モウンガに加え、ブルーズのハリー・プラマーもフランスに移籍。クルセイダーズからイングランドのサラセンズに移籍したファーガス・バークはスコットランド代表としてNZに凱旋し、マオリ・オールブラックスなどと対戦しました。
今シリーズのメンバーの中では、今季はハリケーンズでも10番で起用されたラヴが第3のスタンドオフという位置づけでしたが、このポジションが今後どうなっていくのかにも注目したいと思います。
ABの次戦はザ・ラグビーチャンピオンシップ初戦となる8月17日に敵地で行われるアルゼンチン戦です。



