2024スーパーラグビー・パシフィック第4節は3月16日、チーフスが地元ハミルトンでフィジアン・ドゥルアを迎え撃ちました。前節、クイーンズランド・レッズ戦でまさかの苦杯をなめたチーフスに対し、王者クルセイダーズを降して勢いに乗るドゥルアでしたが、試合はチーフスが地力を発揮して攻守ともに安定感を見せ、46ー29で勝利を収めました。
これが指輪のパワーか
チーフスは試合開始直後からドゥルア陣内に攻め込みますが、いいところでターンオーバーやペナルティー。逆にハイボールで競り負けて突破を許してドゥルアに先制され、ホームのFMGスタジアムに嫌な雰囲気が漂います。しかし、そこから徐々に昨年のレギュラーシーズン首位の地力を発揮します。今シーズンここまで成功率100%とリーグ最強を誇るスクラムでペナルティを奪うと、10分にラインアウトからワイルドナイツFLラクラン・ボーシェーの弟、FLケイラム・ボーシェーがフィニッシュし、コンバージョンで同点。15分にはバックスのパス回しから最後はSHコルテス・ラティマがコールに飛び込み逆転に成功します。その後は両チーム1トライ1PGで、前半は7点差の24ー17で終了します。
ちょっとした余談ですが、この試合はナイターだったこともあり、ハーフタイムにはスタジアム上空でニュージーランド初と銘打ったドローンによる光のショーがありました。ここは映画『ロード・オブ・ザ・リング』のセットをテーマパーク化した「ホビットン」があるワイカト地方のハミルトン。ショーでも黄金色のリングが浮かび上がり、映画のシーンが再現されたりして観客を盛り上げました。
さて、後半はチーフスがボーシェーのこの日2本目を含む2トライを立て続けに挙げます。その後、ドゥルアに1トライを返されますが、直後にチーフスのFBショーン・スティーブンソンがゴール前のちょこパン(ショートパント)を自ら拾ってそのままフィニッシュに持ち込む美技を見せて突き放します。ドゥルアも終盤猛攻してオーバータイムにゴール右隅にトライを決めて意地を見せますが、終わってみればチーフスの快勝と言っていい内容でした。
敗戦の教訓生かす
当然のことながら、チーフスは前節の敗戦を受けて、相当気合が入っていた感じでした。試合前、クレイトン・マクミランHCは「(敗戦による)教訓が報われるかどうかだ」と述べていましたし、スティーブンソンは「ペイシェンス(我慢)が大事になる」と語っていました。特にこの「我慢」の部分では、チーフスの失点パターンとしてディフェンスラインの穴を突破されることが指摘されていましたが、この試合ではドゥルアの猛攻を鉄壁の守りで防ぐ場面が目立ちました。試合最終盤でイエローカードを受けたものの、比較的統率も取れていた印象で、敗戦を受けてかなり入念に修正してきたことを伺わせました。逆に相手にボールを持たせすぎた印象はありましたが、そこはそういうゲームプランだったのかもしれません。それに加え、やはりスクラムが強いというのは大きなアドバンテージでしたし、バックスではSOダミアン・マッケンジー、CTBアントン・レーナート=ブラウン、FBスティーブンソンの展開は強力でした。唯一の懸念材料は後半途中で頭部を打って負傷退場したレーナート=ブラウンの状態でしたが、試合終了前にベンチに姿を見せていたので一安心です。全体として、レッズに負けたのが不思議に思えるくらいでした。
一方のドゥルアは、ハイパントのこぼれ球を拾ってそのまま先制トライを含む2トライを挙げたCTBロセフォ・マシなど随所に自慢の身体能力の高さは見せました。しかし、特に後半はボールを出しては前に突っ込んで阻まれるという単調な攻撃が目立ちました。チームとしては組織的に統率されたプレーを身に着ける途上なのかもしれませんが、フィジアン・ドゥルアに組織力が必要なのはむしろディフェンス面だと思います。攻撃に関しては、もっと深めにラインを敷かないと、怪物ウィング、サレスティノ・ラブタウマダらの個人技を生かせないのではないかと思うのですが、どうなのでしょうか。また、この試合は調子が悪かったのか、注目株の若き司令塔SOイザイア・アームストロング=ラヴラがいまひとつピリッとしていなかったのも残念でした。
ハイランダーズ、地元で敗れ2勝2敗
さて、その他のNZ勢ですが、ブルーズは敵地でニューサウスウェールズ・ワラターズに12ー10で競り勝ちました。トライ数的には2対1だったのですが、ハイライト映像を観る限り、ワラターズのライン際のトライチャンスを辛くもタッチに押し出した場面が前後半で1回ずつあり、文字通りの辛勝だったようです。一方で、ACTブランビーズをホームに迎えたハイランダーズは21ー27で敗れてしまいました。これで4戦終わって6位ながら2勝2敗です。プレシーズンはハイランダーズが一番調子がよさそうだったので、今年は行けるのではないかと思いましたが、分からないものです。前日本代表ヘッドコーチで、2015年にハイランダーズを唯一の優勝に導いたジェイミー・ジョセフが「ヘッド・オブ・ラグビー」として戻ったことでも話題のハイランダーズ。次の第5節はチーフスとの対戦になりますので、序盤の正念場かもしれません。ハイランダーズについてもいずれ詳しくリポートしたいと思います。

